不良セクタがあるHDDの復旧はどう進める?読み出し優先の考え方

不良セクタがあるHDDの復旧はどう進める?読み出し優先の考え方

最終更新日:2026年02月13日

不良セクタがあるHDDの復旧はどう進める?「読み出し優先」で傷を広げずにデータを救うプロの鉄則

「HDDのコピーが進まない」「特定のフォルダを開くとパソコンが固まる」。
その原因の9割は、HDDの記録面に生じた物理的な傷や劣化、すなわち「不良セクタ(Bad Sector)」です。

不良セクタがあるHDDに対し、無理やり何度もコピーを試みると、磁気ヘッドが傷に足を取られて破損し、HDDは二度と動かなくなります。
プロの現場では、これを防ぐために「悪い部分は後回しにして、良い部分だけ先に確保する(読み出し優先)」という特殊な戦略をとります。

この記事では、不良セクタがデータ復旧の最大の壁となる理由と、OpenLabが実践する安全な抽出フローについて解説します。

  • 不良セクタ
  • データコピー失敗
  • 読み出し優先
  • PC-3000
  • イメージング
目次

「不良セクタ」はHDD上の地雷原である

HDDのディスク面は、無数の「セクタ」という小区画に分かれています。
経年劣化や衝撃で、磁気情報が読めなくなったり、物理的に傷ついたりした区画を「不良セクタ」と呼びます。

ヘッドがフリーズする仕組み

正常なセクタの上を通る時、磁気ヘッドはスムーズにデータを読み取ります。
しかし、不良セクタ(地雷)の上を通ると、ヘッドはデータを読み取れず、何度も「読み直し(リトライ)」を行います。
これが「ジージー」「カチカチ」という異音の正体であり、パソコンの画面が固まる(フリーズする)原因です。

Windowsのコピー機能が「無力」な理由

Windowsのエクスプローラーによるコピー機能は、「完璧主義」です。
1つのファイルの中に1箇所でも読めない部分(不良セクタ)があると、何時間も粘って読み取ろうとし、最終的に「エラーが発生しました」と言ってコピー全体を中断してしまいます。
つまり、「読める部分だけでも救う」という融通が利かず、さらに粘ることで傷口を広げてしまうのです。

プロの鉄則:「読み出し優先(Read First)」の考え方

データ復旧専用機(PC-3000など)を使うプロのアプローチは、Windowsとは真逆です。
「読めない場所にはこだわらない。読める場所を最速で守る」という戦略をとります。

1. まずは「健康な99%」を全速力で確保する

不良セクタがあるHDDは、いつ完全に動かなくなるか分からない「余命わずか」の状態です。
そのため、まずは負担の少ない正常なエリアのデータを、別の健康なHDDに丸ごとコピー(イメージング)します。

2. 「傷」は深追いせずにスキップする

読み込み中に反応が遅いセクタや、エラーが出るセクタに遭遇したら、即座に読み込みを中断し、そのエリアを「スキップ(読み飛ばし)」して先へ進みます。
「1つのファイルのためにHDD全体の寿命を縮める」というリスクを回避するためです。

3. 最後に「残り1%」へ決死隊を送る

健康なデータの確保が完了した後、初めて「スキップした不良セクタ」の読み込みに挑戦します。
電圧を変えたり、ヘッドの進入角度を変えたりして、しつこく読みに行きます。
この段階でHDDがトドメを刺されて動かなくなっても、すでに99%のデータは確保済みなので、被害は最小限で済みます。

OpenLabの技術:PC-3000による精密制御

「読み出し優先」を実現するためには、市販ソフトでは不可能なハードウェア制御が必要です。

「逆方向読み出し」や「ヘッド別制御」

HDDの傷は、「ディスクの前半に集中している」等の偏りがあることが多いです。
OpenLabでは、傷を避けるために「後ろから読む(逆方向読み出し)」を行ったり、複数あるヘッドのうち「元気なヘッドだけを使って読む」といった高度な制御を行います。

不良セクタの自動マップ作成

解析機は、「どこが読めて、どこが読めなかったか」を精密な地図(ビットマップ)として記録します。
これにより、どのファイルが無事で、どのファイルが破損しているかを正確に把握することができます。

やってはいけない!不良セクタを悪化させるNG行動

以下の行動は、「読み出し優先」の逆を行く行為です。HDDの寿命を一気に縮めます。

チェックディスク(CHKDSK)の実行

チェックディスクは、不良セクタを見つけると、その場所に何度もアクセスして修復しようとします。
これは「傷口をタワシでこする」ような行為です。スクラッチ(円周状の深い傷)を作り、復旧不可能にする最大の原因です。

コピーの再試行(リトライ)連打

「コピーに失敗しました」と出た際、「再試行」を何度も押したり、再度ドラッグ&ドロップを行わないでください。
同じ場所でつまずいているのに、無理やり通そうとするとヘッドが発熱・変形し、完全に壊れてしまいます。

よくある質問

不良セクタがあるHDDは、直せばまた使えますか?

いいえ、再利用はできません。不良セクタは物理的な損傷であり、一度発生すると増殖する傾向があります。復旧対応とは「データを吸い出すこと」であり、HDDを修理して使えるようにすることではありません。データを取り出した後のHDDは廃棄となります。

市販のクローンソフトでもスキップできますか?

一部の有料ソフトには「エラースキップ機能」がありますが、ハードウェアレベルの制御ができないため、スキップの判断が遅く、HDDに負荷をかけやすい傾向があります。また、スキップした箇所を後からリトライする機能も弱いです。重要なデータの場合は、専用設備のある業者への依頼を推奨します。

まとめ

  • Point

    Windowsのコピーは、不良セクタで立ち往生し、HDDを痛めつける。

  • Point

    復旧の鉄則は「良い部分を先に確保」し、「悪い部分は後回し」。

  • Point

    OpenLabは、PC-3000を使って傷を回避し、安全にデータを抽出する。

不良セクタとの戦いは、時間と負荷との戦いです。
「まだ動くから」と無理にコピーを続けてトドメを刺してしまう前に、プロの「読み出し優先」技術に頼ることを検討してください。
OpenLabなら、傷ついたHDDから可能な限りのデータを、最も安全な方法で救出します。